お楽しみ
それぞれの夜を勝手に想像する時間を持っている。
たまに、その夜を他人と共有することもあって、それはなんだか楽しい。
わー!っと叫ぶような楽しみ方もあれば、誰とも話していないのに、ジンワリ楽しいを感じる事もある。
阿倍野・流流にふじたゆかりさんとイワクニマユさんが2人で作り上げたライブを見に出かけた。
趣向の凝らされたライブを眺めながら私は1番後ろの席でのんびり笑って見ていた。
終わりでダラダラしてるとふじたさんから打ち上げに誘われて、流流の近所にある「SAWA」という茶粥屋さんへ。
鶏肉を鉄板で焼いた物を酒で流し込みながら笑った。
イワクニさんがラジオ好きでそんな話も沢山した。
ヨースケ君のエスコートで深夜の工場地帯を上から見下ろす気分の良い橋の上に。
体にまとわりつく湿気を風が撫でる。
気持ちいいと気持ち悪いを繰り返しながら、夏が本格的に近づいているのを日常の中で何度も感じている。
夏が終わると生活が激変する、かもしれないし、そんなに大した変化もないかもしれない。
今はただ楽しみが無数に待っていることを信じている。
ひろのぶさん
アメ村のスタンダードブックストアへ。
前田将多さんの著書刊行記念トーク会に出向いた。
でも目当てはゲストとして登場の田中泰延さんだったりする。
田中さんは昨年末に長年勤めた電通を退職し、青年失業家と名乗って文章を書いている。
Twitterなどで田中さんの文章を読んでファンになった人はここ数年で多いと思う。
僕もそのクチ。
文章を読んで感じた通り、場を楽しい気持ちにさせる人だったし、鋭く周囲の事を見ている人だった。
ファンとしては「平成何年入社や」を生で聞けて大笑いだった。
良い先輩なんだろうなぁ。
燃え殻さんの本はどこに行っても手に入らなかった。
家に帰ると自分の屁の臭いを嗅いでは「くっせぇ!」と嘆き楽しんでいます。
もう少しで手に入ります。
颱風
夏らしくなってきた。蒸し暑さも本格的に。
蒸し暑すぎる。
ここから一週間、酷暑日が続くらしい。
今日は一年振りの台風に見舞われた地元。そこまで台風らしい雰囲気にはならなかったが、閑古鳥がいつも以上にやかましく店は三時間早く閉店。
早く帰れるのは嬉しいけど、急に時間が出来たところで雨の中どこに行く気も、金もない。
今より少しだけ涼しかった某日、いつも遊んでいるメンバーで泉佐野方面にある海岸に行ってバーベキューをした。
この日は朝から関西国際空港の見学バスツアーに参加して、バスの中でほとんど寝てたり、帰りは蛍の大群を観察して山の中で感動したりした。
ヨースケくんがAクラスと呼ばれる肉を買って来てくれて、焼肉奉行となり、みんなで旨い旨いと腹を満たした。
音楽を流し、ギターを弾き、歌って過ごした。
そんなことを思い出して、ブログでも更新するかと思ったけれど、これ以上何も浮かんで来なかった。
寝ることもできず、なんとなく映画を見て、ラジオを聞いて、まだ眠れず、仕方なく、というのも変だけど、自転車に乗って深夜徘徊へ。
私は年に何度か自転車で深夜徘徊をする。
10代終わりから20代中頃はほぼ毎日意味もなく、深夜ママチャリにまたがって、車道の真ん中を走って嬉しがっていた。大抵最後はエロ本の自販機探しに落ち着き、結局見つからずにコンビニでエロ本を買ってウキウキ帰宅した。
実家に住んでいた頃は家族全員が嫌煙家で自宅内での喫煙は叶わず、外に出るのは煙草を吸いに行くのが1番の理由だった。
今ではパソコンをちょちょっと触れば、好きなだけ、好きな趣向のエロ動画を見まくれるし、煙草も換気扇の下に行く必要こそあれど、その日付けで肺がん宣告されるまで吸い続けることが出来る。書いてて怖いな。
今は当時と違い、深夜徘徊で得られた嬉しい気持ちは随分減った気がするけど、今日のような雨の日は傘をささずに濡れに行く事ができる。
雨の日にわざと傘をささない人は日本人には少ないと思う。当然自分も普段は傘をさして出歩く。というか、雨に濡れるのは嫌いだ。梅雨時期の雨はジメジメもプラスされて、代謝の良すぎる汗だるまにはこの世で指折りの嫌な事に分類される事だ。
しかし深夜徘徊時はよっぽどの理由がない限り傘を持たずに外に出て、降って来たら濡れる事にしている。別にそれで何が起こるわけでもないけど、わざと雨に濡れることは気分転換に近い作用をもたらしてくれる。
深夜徘徊の時はいつでも好きな時に帰る事が出来るし、ずぶ濡れになろうが、汗だるまになろうが、飽きたらすぐに帰りシャワーを浴びてリフレッシュできる。
何より、自分にとってわざと雨に濡れるのは気分が良い。
能動的に濡れに行ってるということと、すぐに帰れる距離というのが重要だ。
タイの離島に遊びに行った時、前が見えない雨量のスコールに叩かれて慣れない原付を運転しているのはひたすら辛かった。
良い心持ちでシャワーくらいの雨に濡れて駐輪場に帰る頃には、Tシャツとズボンの前身頃だけが真っ黒になって、後ろ身頃が乾いている貧坊ちゃまみたいな姿になっている。
シャワーを楽しみにエレベーターに向かうと団地に住み着く野良猫と目があった。
こいつは夜になると駐輪場に停めてある自転車の、子供が座る後ろのシートで寝ている。
いつもなら熟睡してない限りすぐ逃げるのだが、ずぶ濡れで近づくと少し興味を持ったのか、警戒しながらこちらの様子を伺っている。
飼い犬は飼い主が悲しんでいると寄って来る習性があるっぽいが、野良猫も、人間が哀れな姿の時は少しだけ心が開くのかもしれない。
猫はすぐ自分に飽きて、最後はわざわざこちらにケツを向けてノビをして何処かへ。
ナツマエ
まぁ〜蒸し暑い。
かき氷もボチボチ売り上げに加速を付けている。
無くなる予定だった喫茶店はその後も別のオーナーが引き継ぐことになった。
店は無くならないけど、人員は当然総入れ替え。
また入りたければ面接を受ける事になるよう。
朝方まで曲と詩を作って煮詰まって来たのでアイスコーヒーを飲みに店に行く。
出勤時のような慌ただしさは無く、ゆるゆるチャリを漕いで朝の町を走る。
雨もやんだ。
閉店して数時間経った店内はシンクの水も干上がり、静まり返っている。
こんな風に好きな時間に店に出入りする事はおおやけに許されては居ないけど、咎める理由もない。
そろそろ帰ろうとした所にオーナーの旦那さんが締まりの悪くなったトイレのドアを直しに来た。
バツが悪いタイミングだったけど少しだけ喋る。
旦那さんは黙々と作業していて、帰るタイミングを失った私との間に無言の空間が流れ続けている。
少しの沈黙を破り「俺らは撤退するけど、次はどうすんねや?」ワンマン一辺倒だった旦那さんが、少しだけ申し訳なさそうなトーンで聞いてきた。
何も決まってない事を告げると「ここ、面接受けろよ」とだけ言ってまた作業している。
「やっぱり、それが良いですかね」何も考えずに聞き返すと「それがええよ」とだけ言ってその後も振り返ることはなかった。
旦那さんが一度外に出たタイミングで自分も外へ、明日の業務内容について少しだけ話した後、適当に切り上げて帰宅。
オーナー夫妻とはこの店が出来た日からの付き合いで、今後を心配してくれてる風な素振りを近頃感じている。
同時に、片隅の心配事である自分がまた同じ店に収まってくれるのが1番手っ取り早く、肩の荷も下りる結末なんだろうとも察する。
何も考えていないだけで、誰のことも恨む予定はないけれど、迎えた側からすれば寝覚めの悪い存在なのかもしれない。
育ち始めたゴーヤの前にはデッカい花が咲いていた。
飛んでる虎
今や誰も言ってませんが、「北欧の百均」と言われていたフライングタイガーで見つけたカゴ。
その名も「キャンピングバスケット」。
ハウス食品一社提供のアニメでしか見たこと無い気がしますが、まさかの本物。
皮肉でなく、こんな素敵なバスケット(!)を持ってどこぞへ行く瞬間が訪れる生活に憧れて生きたい。
百均と言われなくなった一番の理由と思われる値段も1800円するだけあって、シッカリしてました。
タイガーはヘンテコで可愛らしい商品が多く、つい無駄遣いしそうになります。
しかしそこは金銭問題が大いに絡むので、傍観者としてのスタンスは崩さず、楽しい店内を物見遊山スタイルでゆるゆる歩く。
ウサギちゃんのじょうろ。
「じょうろ」って初めて書いたかもしれない。
「じょーろ」、「ジョウロ」、どれも変な感じがする。
でも「じょうろ」も「如雨露」も・・
麺の湯切りザルかと思いきや、「ポップコーンメーカー」!!!!!
この蓋は一体?と思ったけど、ポップするコーンを抑える為の物だった。
ポップコーンてアルミ箔に包まれてる物だとばかり思っていたけど、穴あきの網で直火に掛けて良いものだったのか。
ちゃんと持ち手が器部分から離れている所も抜かりなし。
なんじゃかんじゃ眺めて大満足で店を出る。
世知辛く厳しい現実社会の疲れを癒す為に色々な場所が人を待ち受けてくれている。
休み明けのテンションを少しでも持ち上げる事が出来れば、それだけでどんな所もありがたい場所になる。
能書きを垂れる手には「携帯型ミラーボール」が2つも握られていた。
キラキラしてて楽しいよ。
この世の地獄
夜中Twitterを見てるとMobb Deep(モブディープ)のラッパー、プロディジーの訃報を知る。
初めて聞いた日から今に至るまで、いつ聞いても格好良いヒップホップが聞けるセカンドアルバム「The Infamous」はドープとか、黒い、煙たいと表現される音楽との出会いだった。
スラムの現状など知る由もない平和な日本で聞いていても、彼らのラップと重く暗いビートからニューヨークの深部を想像させられた。
暴力的に太っとい音にビビるスピーカー、とんでもなくシリアスな生活の中で生まれた切実な音楽なんだろう。
この曲はエミネム主演の映画「8マイル」でMCバトルのシーンでも使われている。
長い間「The Infamous」がファーストアルバムだと思っていた。
そして、多くのヒップホップファンが賞賛する3枚目、アルバムタイトルにもなっている「Hell on earth」は彼らの地位を不動のものにする。
今日は新聞各紙が「沖縄戦終結の日」について見出しを掲げている。
読売新聞社説に元沖縄県知事、大田昌秀さんの20歳当時の手記が紹介されていた。
海岸に死体が押し寄せていた。水葬の遺体を波がかき集めたかのように
殺された人、自決以外の選択肢を持たなかった多くの人たちが亡くなった。
6月になると、中学の修学旅行で訪れたひめゆりの塔を思い出す。
梅雨の雨の中とても重苦しい雰囲気で塔は佇んでいた。
小学生の頃、第二次世界大戦下の日本に興味があった私は家族旅行の行き先を決めていた親に頼んで広島に連れて行ってもらった。
きっかけは峠三吉さんの原爆詩集に収められた「序(にんげんをかえせ)」の衝撃だった。
無理にヒップホップを介した言い方で書けば、「にんげんをかえせ」という言葉は、リアルとハードコアの原体験だ。
まさに「この世の地獄」が日本人なら誰にでも伝わる言葉で描かれている。
そんなことを同時に思うアーティストの死だった。
合掌。