エリカこんにち
ちょっとまえ、友人と地元の純喫茶エリカへ。
レコードの話や解散を発表したSAKEROCKのことなんか喋る。
音質の良いスピーカーでジャズを流すお店だったけど、久々に行ってみると
スピーカーはなくなり、レコードのジャケットはもう飾られていなかった。
エリカの店主はすごく特徴的。
パンチパーマにサングラス、長身で立派なヒゲを蓄えた見るからに、な風貌。
なんだけど、実際に喋ってみると気が弱くて、
蚊の泣くような声で超優しく対応してくれる吉本新喜劇のキャラクターみたいな人。
その店主にレコードが流れてないこと、飾られれてない訳を聞いてみると、
数年前にスピーカーは完全に壊れてしまい、修理不可能だと言われてやめたらしい。
この土地で何十年もいい音質で、いい音楽を流してきた店主にとって
「このスピーカーはもう直らない」といわれたとき、どういう思いだったのか。
案外、少し清々したような心持ちだったりするんだろうか。
子供の頃に見ていた店主のギラついた印象は薄れ、というかなくなり、
頭髪もヒゲも灰色と白にコーティングされて、単に歳をとったような、別人のような風貌。
よく見るともうパーマもあたってなさそうだった。
夏場の店主は雪駄に甚平を着て、ヒゲ、パンチ、グラサンの凶暴な見た目。
子供ながらに近づいてはならないと強く思ったものだった。
スピーカーが壊れたと同時に自身のそういうイメージからも解脱したのだろうか?
今の姿が薄皮一枚まとっていない真の店主なのかもしれない。
桜の写真が複数飾られた店内には、どこからともなくアンビエント音楽が流れていた。