遠くて見ていた波
「今日やっぱ忙しわ」
レジを閉めた時に売り上げを見て疲れの原因に気づかされる事が増えた。
数年前、近所にスターバックスが開店して虫の息になっていたウチの喫茶店が最近活気付いている。
住んでいる町には老人が圧倒的に多い。
スターバックスは少しお洒落が過ぎたのかもしれない。
暖かくなって来て、老人や初老のお客さんがまた増えだした。
しかし時すでに遅し。
店じまいのタイムリミットは刻一刻である。
そんな話を、元従業員だったバイト君と、商売仇となるスターバックスで話していた。
元より、私にとってはどうでも良いっちゃどうでも良いので、仇とは全然思っていない。
彼は付き合いの少ない私の知り合いの中でも指折りで「数奇な運命」を地で行く男。
同僚として働いていた頃、仕事中、仕事終わり、彼の色とりどりの体験談を聞いて、腹をよじらせ笑っていたのはいい思い出である。
彼のように話術巧みに語り下ろせないので詳しく書けないけど、「見ず知らずのホームレスの就職の世話をした結果、監禁された話」がお気に入りだ。
彼は変わらない爽やかな感じで、今も手広く色々と仕事をこなしながら過ごしてるらしい。
そんな中、私に音楽制作の依頼をくれたのが久々に会った理由。
話を聞けば聞くほど、なんの実績も持たない私は「俺で良いの?」と弱気も弱気。
7月頭に締め切りを設けられた仕事をパリッと決めてやりたい。
いや、なんとか乗り越えたい。
である。