それから
話が変わって来た。
リニューアルオープンする喫茶店に残留が決定。
まさかのオープニングスタッフ2期が始まる。ゆなぁむせぇん。
行くも地獄、戻るもまた、てな感じで流されながらなんとなく楽しみたい所。
数ヶ月に一度の恒例行事、歯医者に行って歯石とヤニを取ってもらう。
受け付けの人や、中で作業をしている人が新しい人ばかりになっている気がした。
歯医者を怖がり過ぎた代償が銀歯だらけの口の中である。マザーファッカー。
意を決して歯医者の門を叩いた日から何年も経って、今では一丁前に施術中に寝てたりする。
なんて事はないのだ。
本当は。
大抵のことは。
とか、一気に楽観的な気持ちになって心を軽くしていた時代も経た。
院内待合室に「にゃんたんのゲームブック」シリーズを見つける。
時空を超えた再会にテンションも上がり、ますます煙草が吸いたくなってきた。
頻繁にテレビゲームを買ってくれる家ではなかったので、僕はこの「ゲームブック」で随分飢えをしのいだ記憶がある。
ハッキリ言って、テレビゲームの魅力にはかなり劣る。
実際に「スーパーマリオ」を1面だけでもやる楽しさや嬉しさには、足元にも及ばない程度の感動と興奮があるのだが、「にゃんたんのゲームブック」はゲームの無い日々を送る僕には良い抱き枕だった。
ゲームが売れに売れていた時代、大学ノートにロールプレイングゲームを手書きで製作してやりたい人にやらせていた。
同級生は休み時間に最新ゲームの話題、知識を、競い合うように披露していたので、その話や、ドラクエの4コマ漫画や自前の攻略本からの知識だけで作っていた。
すぐ周りでも流行りだし、漫画を描くブームがゲームを作るブームに変化していった。
プレイヤーのステータスのページ、フィールドのページ、敵モンスターのページなどに分けて、プレイしてくれる同級生の動きに合わせてページをめくる。
武器や防具のグレードも日々更新していく、なかなか凝ったもので、と言いたい所だけど、実際ロールプレイングゲームを完結するまで大学ノートに書くのは至難の業だし、楽しんで欲しい一心で、妙に大風呂敷を広げた展開になったり、敵が強すぎたりと、ゲームバランスはすぐグチャグチャになって、いつの間にかゲーム自体が立ち消えする事がどこの机でも続く。
それでもしつこく新しいフィールドや敵キャラを考えながら、今もこの冬に出る超大作ゲームの話題で持ち切りの同級生を横目にゲームに思いをはせた時間だった。
それからしばらくして発売された「RPGツクール」というゲームは、まさにその頃やっていた事が最初からお膳立てされている内容で、とてもやってみたかったけど結局それはかなわなかった。
暇で仕方なかった小学生の頃、大量の時間の中で、頼まれてもいないのに勝手に体が動いたことを思い出している。