魂持ち帰り
こんちゃ。smokeです。
5月某日。また町、歩いてきましたわ。今回から一応「降りたことのない駅」縛りで歩いていくそうです。今日は百舌鳥八幡(もずはちまん)編です。初めましての方も、いつも読んでくれてる方も、よろしゅうおたのもうします。
顔面が親指みたいになってますが間違いなく私が、smokeです。
南海高野線、百舌鳥八幡駅。沿線にお住いの方はもしかすると分かるかもしれないですが、いつ電車に乗ってても乗降者がポツポツとしかおらず、全く乗り降りのない時もある不思議な駅。工場や会社が多いのかと予想していたのですが、いざ降りてみたら意外にも密集した住宅地でした。
「ほんだらなんで乗り降りが少ないねん」の理由は、近所に格安のJR百舌鳥(もず)駅を見つけて合点がいった。
百舌鳥八幡駅は少し前まで「日本一乗車賃の高い」と言われていた泉北高速鉄道に繋がることからも、近所にJRがあれば当然忌避されるだろう駅。乗降者数に値段がモロに影響してるのが分かった。
さておき出発。駅を出る前に用を足そうとトイレのドアを開けると妙に重たいリュックの忘れ物が。中身がちょっと気になりつつ放っておくのも気がひける。その時気づいたのだけど百舌鳥八幡は無人駅のため、備え付けのインターホンで1駅先の中百舌鳥(なかもず)駅の駅員さんに連絡をつけ、回収しに来てもらわなければいけないようだ。歩く前からなんだか色々。
駅のホームには独特な手すり。
優しさな気がする。
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百舌鳥八幡駅からヘコヘコ歩き始めて10分ほど。なんてない住宅地を抜けると大きめの道路が現れた。道路沿いを歩き始めてすぐ食堂を発見。見た目の雰囲気に釣られて入ってみることに。
ともや食堂さん。
果たして思惑は大当たり。求めていた空気感が漂う。25席くらいの店内はお客と空席が半々で、忙しそうにおばちゃん?お婆ちゃん?が元気な声で迎えてくれた。バタバタしながら隙を見て常連らしき老夫婦と楽しそうに会話している。飯場を切り盛りするベテラン店員の動きがカウンターの奥に見切れている。常連のおばちゃんが店員として動き回っとる、など。この感じですわ。
セルフサービスでおかずを取る棚がなんとも良い。
リンク貼っときます。
腹を満たして町歩きを再開。まだ肌寒い日もある時期でしたが、この日は青空が突き抜けちゃって暑いの暑くないの大変でした。
前は看板でしたが、今回はまさかの立体。
前回「こういうの久々に見たな」という話だったのに、この先にさらに鳥居を発見。絵に描いた看板と、看板に立体の鳥居を貼り付けるという手間のかかったものだった。
見落としてるだけでそこかしこにあるもんなのか?とも思ったけど、「百舌鳥八幡」の名前の通り、百舌鳥八幡という名前の神社がある場所なので恐らくそのせいだろう。
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大通りから路地、路地から大通りへ抜けては住宅地らしい路地を進むの繰り返し。
メインの通りらしき道には大きな鳥居がそびえていた。さらに路地を進むと教科書でお馴染み前方後円墳の登場である。
四方を池に囲まれた古墳。ここにロマンを感じて日夜人々が集まるのだという。
集まってる?
当然正面から見ても森が茂ってるだけで、なんにも見えへん。
想像力の豊かな人や史学の心得のある方はロマンを享受できるんだろうけど、僕ちゃんには難しい。類型を見ない墳墓。クフ王のピラミッドより大きいとか、いいフリが効いてるんだけど見えない。スゲースゲーと言われても見えないと正直面白くはない。しかし同じく空からでないと見えない世界遺産「ナスカの地上絵」のように、遠く離れた異国の地から想いを馳せるとその不思議さに何か思うところ、ないこともない。
古墳のある小島へ橋が架かっていた跡。
古墳に関係はないけどこれには興奮を覚えた。ロープレ感、冒険の風味、大事。「なんとか渡れんじゃね?」と思わせてくれるあたりはロマンでした。
管理している宮内庁の研究者(?)がたまに中に入って何か調べてるというけど、そろそろ一般人にも見せてくれて良いんじゃなかろうか。
目と鼻の先に百舌鳥八幡が。
八幡さまにお参りをして通り抜けさせてもらう。
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百舌鳥八幡の町は至る所に昭和中期の雰囲気が残っていて、古いアパートが目につくことが多かった。
「今日の幹事」みたいなタスキを見たことはあるけど、表札での主張は初めて。
今回の町歩きで個人的にもっとも味の濃かったスポットがこちらのアパート。現れた瞬間痺れました。
相当パンチの効いた好物件。2階建てと思いきや、3階につながる階段を発見。登ってみると物干し台になってるらしいが利用者は居なかった。
ぴーかんのお天気と相性も最高。実は4階もあって、鍵がかかってて進むことはできなかった。いーよいーよその感じ。
少しずつ増設されていったようなある種のチグハグ感が所々に見てとれ、そこがまた堪らない。この雰囲気どこまで伝わるか。団地などにグッとくる感じとも違う趣き。
個人的にはこのアパートを見つけてようやく来てよかったなと思えた。
ポストの投函口なんですが部屋によってはこの部分がゴッソリ無くなっており、中が丸見えになっていた。空き部屋なのを確認して恐る恐る覗くと陽の差した部屋にホコリがきらめき、変色した畳が確認できる。肉眼で見てるのにくすんだような景色は何かが起きた後の物件みたいに異様で、神秘的な雰囲気があった。
町の至る所に昭和全開の古いアパートがあったのだけど、平成後期に建てられたような瀟洒なマンション群もそこらに伸びていた。「ふとん太鼓」と呼ばれる伝統的なお祭りが残る町なので、古今入り混じった状態での共生が続いているのだろう。
気づいたら結構な時間歩き回っていた。百舌鳥八幡駅が見えてきた日の暮れ少し前、心地よい歩き疲れを感じながら町歩きを終了した。
今回は長かったので次回はもう少し短めに書きます。次は前にちょろっと書いた大阪の秘境駅へ行く予定。よろしければまたお付き合い願います。長々とありがとうございました。明日はもっと最高の1日になるで。