-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

飴玉らしく転がす

 

タイムラインに支配された脳みそ。

「別に・・」と言いつつ、気になってるから目は追いかけてる。

 

1985年相米慎二監督作品「台風クラブ」を見た。

 

台風が接近し、学校に篭った少年少女たちはそこでカーニバルをはじめるのだが・・

 

よく分からないあらすじだがAmazon Videoの解説にそう書いてある。見ながら自分もすじを見失っていた。それなのに今年1番楽しんで見た映画になった。

台風接近から上陸、通過までの4日間、中学3年生の主人公たちを追いかける内容。破茶滅茶な展開。Twitter会田誠さんが「#面白い日本映画を4作品挙げる」というハッシュタグで紹介されていて鑑賞。

 

夜のプールで誰かが水面に頭を出す音。「台風クラブ」の文字が浮かぶ。少女たちの嬌声が暗闇に響き、静寂を裂いてバービーボーイズの「暗闇でダンス」が突然流れる。水着姿で歌い踊る5人の少女がプールに設置されたライトに照らされ妙に艶かしい。この見てはいけないような気持ちは会田誠さんの絵から感じたことが何度もある。冒頭からすぐに普通の映画じゃなさそうな気配がびんびこびん。

 

初々しい中学生カップルの恋愛が映し出され、かつて教室の後ろからこんな風景を見たことがあるような気がして甘酸っぱい気持ちに。古めかしい木造の校舎を吹き抜ける風は平等な存在として誰の肌も撫でる。ぼんやり見てると当時14歳の工藤由貴さんのオナニー(と言われている)シーンが始まり驚愕。どんな説明して撮影したんやろか。後年ジム・ジャームッシュ作品に出演する女優さんのキモの座り方に脱帽。台風接近に伴い相次いで「なにこれ???」な展開が転がりだす。倫理的に当時でも大丈夫だったのか分からないエロもずっと漂ったままだ。明らかに狙ってやっているのは分かるけど、中学生のソレは徐々に発禁物の怪しさに。一方で物語はトリップ映画のように異様な変容を繰り返す。

台風が上陸した4日目の放課後、午後4時20分からの展開に息を呑む。ゴールに向けて吹き抜ける台風。キラキラの学園物が衝撃的な急カーブでサイコスリラーに変わったかと思えば・・。頭の中は「!?」でいっぱいになっていく。真夜中の学芸会は狂乱を迎え、もはやなんのこっちゃ分からないけど続きが気になるから見てしまう。最初どんな話を見ていたのか思い出せない。眩しかった中学生の恋愛劇は台風が連れてきた暗闇に塗り潰されてしまった。あとから効いてくる教室に貼り出された「夢と希望と目標をもって戦いつづけよう」のスローガン。どんな朝がやってくるのか。

 

朝から薄暗い雨の日の教室と蛍光灯の白。木造の床が部屋のニオイと一緒に湿気ている。ある日のクラスメイトのざわめきまで脳裏に蘇らせた映像の数々。ぜひ見てほしい。

 

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予告編がなくて驚いた。無いんや。

 

何週間かけとん。おもろかってん。日本人の価値観も変わるなか、昨今いろいろ表現の自由もむずかしい世の中だと思うので大事に見ていきたい作品。完全に羽を広げて自由に飛び回る日まで心身を休める。ゆるく受け身の日々。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

 

君の自己ベストすごいからな

 

最近妙にヒットした画像。

なんか良い。

 

1991年黒澤明監督作品「八月の狂詩曲(ラプソディ)」を見た。

 

ある夏、長崎の田舎に住む祖母、鉦(カネ)の家にハワイからエアメールが届く。自分の兄だと名乗る錫二郎が病で先が長くないため、最後に妹に会いたいと書いてあるが、鉦は錫二郎を知らないという。代わりにハワイへ向かい、4人の孫たちが鉦の家に預けられた。孫たちは祖母から原爆体験を聞き、次第に忘れられていく被災地を見て回るうちに戦争に思いを馳せ、その悲惨さを理解していく。

 

子役の演技や内容が、社会や道徳の時間に"見せられる"タイプの作品を思い出した。当時からあの手のビデオがとても好きなので、この作品ともすぐに混ざり合った。原爆の恐ろしさを表すのに、綺麗な山間が紅く染まり巨大な目が映し出される、いまだとチープに見える演出なども好きだ。小学校に遺されている爆風で溶けて曲がったままのジャングルジムの痛々しさ。反戦映画を見ると、なぜいまだに戦争は無くならないのだろう?という当たり前の疑問が生まれる。

なぜそうなったのか思い出せないけど、小学校4、5年生の頃に第二次世界大戦のことが気になって気になって、調べまくっていた時期があった。猛烈な好奇心と意欲を持って休み時間、放課後と図書館に篭り、歴史資料を読み漁り、誰に言われたわけでもなくノートにメモをしてひとりほくそ笑んでいた期間があった。なかでも広島と原爆の関係には異常な興味を示し、ついに親を説得して広島に連れて行ってもらったほどの熱の入りよう。これもなぜか分からないけど長崎のことはそこまで調べる気にならず、広島に狂った関心を寄せて概要を調べ倒していた時期にこの作品を見たら長崎にもきっと狂っていたに違いない。

 

リチャード・ギアが出演しており、彼の拙い日本語が素晴らしい。お婆ちゃんとリチャード・ギア演じるクラークが、満月の下で言葉少なく打ち解け合うシーンはとても感動的だった。子供たちともゆっくり距離を近づけていくクラーク。トトロの風景に似た田舎の景色にお年寄りが集まり、般若心経を読経する光景とリチャード・ギア。面白く絵になるシーンが多い。

 

お婆ちゃんを訪ねてきた別のお婆ちゃんが、向かい合って話もせず、1時間ずっと黙って座っていることに孫たちが不思議がるシーン。訳を聞かれたお婆ちゃんのセリフが印象的だつた。

黙っとってもわかる話もある。あの人の連れ合いもおじいちゃんのごと、長崎で死んだと。だけん、時々来て、黙って座って、黙って帰ると。話ばするとき、黙っとる人もおっとじゃ。

 

個人的にラストシーンがすごく変で好きだった。1945年8月9日と同じ曇り空が突然の暴風雨を呼ぶ。失踪したお婆ちゃんの安否を気にする子供たちの声がかき消され雨音以外聞こえなくなる。傘もささずに飛び出した遠方に、今にも折れそうな傘をさしたお婆ちゃんが、長崎の市街地に向かってヨタヨタ歩く。走って追いかける孫と子供。お婆ちゃんの傘が裏返しになった瞬間シューベルトの「のばら」が児童合唱団の歌声と共に軽快に鳴り響く。不思議だ。シュールだ。笑いそうな気もするし、とても感動(?)した。なんだこの終幕!

 

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登場こそ少ないが、リチャード・ギアが本当にいい味を映画に足していて、世界の黒沢の采配はすげーなぁなどと感心している。

 

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こんな番組がアップされていた。YouTubeにある無数のアーカイブに感謝するばかり。

 

さっき見つけた。

 

なんのやる気もなく考える日常。やっと映画なんか見る気が戻ってきたのでダラッと書く。まぁしょうがない。なにをするにもまだ重たいけど、1作目がとても良かったのでまたポツポツ見ていこうと思う。余裕を持てるように工夫することがなによりも大事で、そのためにできることは今のところ「普通の暮らし」だと結論した。「こじんまりまとまって静かにしておきなさい」と言われて素直に従っておくことがいちばん楽なことを知ってる人種は、バンジージャンプをちょこちょこ楽しむ。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

八月の狂詩曲

 

いったん締まる音楽

 

なんか良い。

なんか良いを繋げていく人生です。

 

1996年ベン・スティラー監督作品「ケーブル・ガイ」を見た。

 

恋人と別れ新しい住まいでケーブルテレビを繋ぐために"ケーブルガイ"を呼んだスティーヴン。やってきた男チップ・ダグラスは妙に馴れ馴れしく、やたら親切にしてくる。人のいいスティーヴンはチップと友達になるが・・

 

「LIFE!」「ミート・ザ・ペアレンツ」などのベン・スティラーが監督、勢いの波に乗りまくるジム・キャリーを起用したサイコスリラー。ジム・キャリーのお陰でずいぶん笑えるが、別の俳優がシリアスにやれば結構怖い気がする。

 

未来は目前だ!テレビと電話とパソコンは一体化。自宅でルーブル美術館、女の泥レスを見て、テレビショッピング、ベトナムの友達とテレビゲームも。無限の可能性が広がっている!

今では当たり前になった未来を、電波塔の巨大なパラボラアンテナの中で叫ぶチップ。狂ったサイコ野郎が強引かつ、周到にスティーヴンの周りの人間を洗脳していく様子はスリリング。とはいえジム・キャリーなのでヘラヘラ見てられる、一味違ったスリラー映画となっている。

 

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何かしら業者の人が自宅に入ってくる時の緊張感。

 

業者といえば、先日から排水溝掃除の業者さんが順番に団地を回ってくれている。掃除が終わった夜、風呂に入る前に全裸でトイレに駆け込む。水洗レバーを回して出ていく際、ウニョリと柔らかく動く昆虫の長い触覚が見えた気がした。冷静にゴキジェット片手、ソッとトイレに戻ると数年ぶりの奴がたたずんでいた。ずっと頭の後ろにおったんかと思うと寒気が。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

 

コロッケ食べたい?

 

逆を生かす。

俺はまだまだ強くなります。

 

2019年片山慎三監督作品「岬の兄妹」を見た

 

足の悪い良夫は自閉症の妹、真理子と2人で暮らしている。家計は常に逼迫しており、食べるのもやっとの暮らしが続くなか、良夫は身体障害を理由に現場仕事をリストラされる。2人でゴミを漁る生活はすぐに無理だと分かった。良夫はいつか真理子がお金をもらって男に体を許していたことを思い出し、妹を使った売春の斡旋をはじめる。

 

あらすじを読んだだけでハードコアな作品なのは決定的。当然内容も生やさしいものではない。この映画が重く感じるのは、それを無いことにしたい、しているからだ。戦争にはじまり、貧困も差別も障碍者の暮らしも、それらがそばにない時に、四六時中意識するのは難しい。

「考えさせられる」といったお決まりのセリフがいかに役に立たない逃げ口上なのか。考えてるフリをして、見て見ぬ振りをしていない風を装うのが精一杯。考えたくないことは見たくないことで、ない事にしておきたいことだ。それを責めるつもりはないし自分もそうしている。ただこうして直面した時の、この気持ちはいったいなんだろう。偽善からくる憐れみか?社会制度への怒りか?人の業みたいなところまで飛ばしてみるか?とにかく画面を見るしかない。

 

印象的なシーンで埋め尽くされたような映画なのだが、良夫の友達ハジメくん(春風亭昇太さんに似てる)が出てくる場面もすごく現実的で、いい温度だった。生きるために良夫が外した道理を、それでも叱りつけるしかない友達の気持ち。しかし面倒を見れるわけでもない、しかし止めなければならない。怒りや咆哮が快楽として消化されてしまうことがあるが、この場合はどうなんだろう。

悲惨な状況がずっと流れていくなかで声を出して笑える場面があったのだけど、その笑いも普通の笑いではないし、この状況下を生きてる人がやるからこそ滑稽に映る。松本人志さんが「笑いの中には切なさがある」というようなことを仰っていて、そんな笑える空気がずっと薄っすら漂っている。

 

食べ物をくれる一部の教会や、炊き出しをされている団体の人たちが「やらない善より、やる偽善」などと自らを貶める言いかたをする。そうでないと変な人がモゴモゴなにか言い出すからだ。そんな光景を目にするたびに、なんか変だよなあと思うのです。

 

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楽しそうな真理子の切なさ。

 

主演お2人のインタビューも素晴らしかったです。

times.abema.tv

 

片山監督は「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督作品に助監督として参加している。「パラサイト」も格差社会のエグさを分かりやすく描いた作品だったけど、まだまだえぐれるといった感じか。見たことのない世界は慣れるまで落ち着かないように、映画もたまにおそろしい。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

岬の兄妹

岬の兄妹

  • 松浦祐也
Amazon

 

向こう側のこと

 

やっと、冬の寝具セットを圧縮袋へ。

夏仕様にした日から感じ始めた寝苦しい暑さはなんなんだ。

 

2014年アレクサンダー・ペイン監督作品「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」を見た。

 

「100万ドルの当選」を知らせる古典的なインチキの手紙を信じ、ネブラスカまで1000キロ以上の道のりを歩いてでも当選金を取りに行くと聞かない高齢の父ウディ。何度も父を連れ戻す息子のデイヴィッドは無駄足と分かりつつ、父親を車に乗せてネブラスカ州に向かうことに決めた。

 

アマプラ終了間近シリーズ。なにを見るか迷う必要がほとんどないのでこのシリーズは気に入ってる。今回は久しぶりの白黒映画。非常にローギアな、ゆったりとした作品。ジャック・ニコルソン主演「アバウト・シュミット(2002)」の監督だった。

 

高額当選を知られると親戚が増えるとか、イタズラに金の無心をしてくる者が現れるなどよく聞くが、その浅ましさは映像で見ると笑えないものだ。正直に言うと退屈なロードムービーではあるが、要所要所でしっかり惹き込まれてる自分にも気付く。お金の話がジワジワと闇を連れてきてハラハラ。

 

ウディを演じたブルース・ダーンはハッキリしてるようでハッキリしてない爺さんの素晴らしい演技。耳が遠いからか、話を聞いてなかった時の「ハッ?」みたいなリアクションがその辺の爺さんを引っ張って来てやらせてるみたいだ。実際この作品に登場する何人かは地元の人に出演をお願いしており、ブルース・ダーンの演技とあいまって全体にとても自然。

 

従兄弟や親戚が集まった時の雰囲気のリアルさには笑った。田舎すぎて娯楽も無さすぎて、「モンタナから2日かけて1200キロを走ってきた?俺なら8時間だぜ」という謎のマウントをいつまでも引っ張っていじってくる従兄弟のウザさが強烈。人がたくさん集まったあとも、テレビがないと会話が生まれずほぼ無音の気まずい空気。あるよな〜と感心。親戚の集まりが苦手なのでよくよく分かる。数年ぶりに会う親戚と話すことなんかお互いにあるわけないのに、無理をしてまで付き合いを留めるのは不思議だ。家系図は根深い。

 

この映画でいちばん注目したのがウディの妻ケイトの登場するシーンだった。一見なんでこんな嫁を貰ったのかと、息子ですら疑問に思うレベルで口の悪いクリスチャンの母親だが、彼女だからこそ、無口で大酒飲みで、人からの頼みが断れない、つけこまれやすい性格のウディを支えてこれたと分かるシーンにとてもグッときた。何が幸せな結婚生活とか全く分からんけど、はたから見て夫婦が仲睦まじいことだけが、それに値するのではないことはよく分かったし、仲睦まじい夫婦がいちばん良いんだろうけど、とも思った。

 

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ケイトを演じたジューン・スキッブは60歳を越えてからスクリーンデビューしたそう。素晴らしい役者さんでした。

 

まーた雨。片山慎三監督の「岬の兄妹」「さがす」がアマプラに登場。日記を書くのにとっても時間がかかりそうだけど、是非見たかったので再生開始。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

 

It’s easy to be nice

 

ネットまで大理石で出来ている彫刻。

長い目で物事に取り組む人になりたい。

 

1998年ブレッド・ラトナー監督作品「ラッシュ・アワー」を鑑賞。

 

香港警察のリー警部、ロサンゼルス市警カーター刑事が事件を解決するアクションコメディ。誘拐されたハン領事の娘を追って香港からやってきたリー警部。しかしFBIは合同捜査に乗り気ではない。「局員にはやらせられないくだらない任務」として、リー警部の監視を押し付けられたロス市警のカーター刑事。お互い納得いかずいがみあいながら、独自に事件捜査を開始する。

 

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War...huh...yeah
What is it good for?
Absolutely nothing

戦争が何になる? 何の意味もない!

エドゥイン・スターの反戦歌「WAR」で踊る有名なシーンが最高だ。

 

Wikipedia曰く「ナインティナインがコメディ部分の日本語字幕を監修」したそう。Netflixの字幕がそれかは分からなかった。面白くて格好いいジャッキーの圧倒的ヒーロームーブにうっとり。FBIの護衛を簡単に制圧し、銃を分解したあと壁を蹴上がるまでの素晴らしさ。楽しさ。高揚感。そういえば見事なパルクールを初めて見せてくれたのはジャッキーだった。常人ならざるスーパーアクションの数々を一般人みたいな顔で(殴られた時のおなじみの表情も!)魅せてくれる。椅子や机を使ったおなじみの細かいアクションはもちろん、高所での危険すぎるスタント無しアクションやら盛りだくさん。凸凹コンビの相棒は俳優でコメディアンのクリス・タッカー。お調子者キャラと高い声がクセになる最高のバディとロサンゼルスを踊って暴れる言わずと知れた快作。スクリーンのスマートで若々しいクリス・タッカーも現在50歳とのことだが、関係ないけど先日ウィル・スミスに殴られたクリス・ロックは57歳。あの日の映像だと30代に見えた。

 

こういうカラッとした作品もたまには接種しないと気持ちがしっとりしちゃうことが分かった。シリアスなアクションとユーモアの波が心地よく「もっとくれ!」と映画に吸い込まれていく。しけた顔で人間ドラマばかり見てるのもいいけど、エンターテイメントにギャハハと笑う痛快さも楽しんでいこう。

 

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NGシーンもあります。

 

2は見たことないから見てみようと思ったら3もあるとは。劇中「香港返還」という単語にひさしぶりに出会った。97年に初めてasicsのポンプフューリーを見て、変な靴があるもんだと"香港返還モデル"を眺めていた。エアマックスが狩られるくらい人気だった頃、1997足限定というプレミア価値が雑誌に取り上げられていた。いいなぁ97、8年。あの頃の都会を歩きたいって何度も言ってる思ってる。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!