芥川賞への道
先日台風の日、ピースの又吉さんが芥川賞を受賞されたと聞いて驚きました。
ちょっと、本当にすごいですよね。
作家の賞レース参加は編集者と時間をかけて、家庭教師と受験合格を目指すように、
賞に合わせたやり方を構築していく、とか聞いたことがありますが本当に取っちゃうのはすごい。
又吉先生は芥川龍之介と太宰治が好きになり読書にハマったという。
神保町の古書店でプレミア価格のついた当時の出版物を
買っている番組なども拝見したことがあります。
「芸人が芥川賞たぁいけすかねぇ」などの意見も探せば腐るほど出てくるんでしょう。
話題集めだったとしても一生に一回無いことですから、獲ったもん勝ちです。
上京してから借りたアパートがたまたま太宰治の住んでた家だったり、
何かしらを持ち合わせた人なのかなと、スピリチュアルなことを考えさせられます。
また、太宰治は芥川賞に関して誰よりも執着を見せた作家でもあった。
一部で有名な話ですが、太宰治は芥川賞欲しさに選考委員だった川端康成らに
直訴というか、ほとんど泣き落としのような手紙を送り、しかも落選している。
さらにタチが悪いことに落選した腹いせとでもいうのか、
自分の作品の中で選考委員をこき下ろすなど、非常に愉快な人だった。
太宰治は芥川龍之介を敬愛していて、最初は芥川龍之介のフォロワーでさえあった。
だからどうしても芥川賞が欲しかった。
と考えるのが妥当なのですが、この話はいろんな見方ができる事件で、
一説によると、とにかく賞金の五百円が欲しかったという説がある。
というのも当時、麻薬性鎮痛剤のパビナール中毒だった氏は
なんとかブツをゲットしたくて金策のために受賞を懇願する手紙を送った
という嘘か誠か、非常に興味深い裏話もあったりする。
実際この手紙を送った数ヵ月後に選考委員の佐藤春夫、
この一騒動が大好きで、太宰治を読み漁っていた頃は無茶苦茶ぶりにウットリしたものでした。
この話を追いかけた太宰治ファンは「川端康成へ」という作品にぶち当たる。
耽美なまでの自己愛に満ちた正真正銘、真正面から切りかかるイカれたディス作品だ。
一部を抜粋
小鳥を飼い、舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか。刺す。そうも思った。大悪党だと思った。そのうちに、ふとあなたの私に対するネルリのような、ひねこびた熱い強烈な愛情をずっと奥底に感じた。ちがう。ちがうと首をふったが、その、冷く装うてはいるが、ドストエフスキイふうのはげしく錯乱したあなたの愛情が私のからだをかっかっとほてらせた。そうして、それはあなたにはなんにも気づかぬことだ。
錯乱してんのはアンタだよ!というツッコミも虚しいこの芸術家な筆がたまらない!
当時の太宰治は本当に麻薬で狂ってたというから幻想の裏付け含め大好きな話です。。
おめでたい又吉さんに戻りまして、こちらの対談もいいお話が読めます^^
太宰治傑作選3 桜桃、ア・秋、川端康成へ、パンドラの匣、葉、きりぎりす、黄金風景、葉桜と魔笛、道化の華など9作品
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