とよりで、からのへや
丘本浩一さんのワンマンライブを見に天満へ。
駅からすぐの大きな橋を渡り、少し入り組んだ道を進むとタツタビルが現れる。
雑居ビルの地下には白壁が潔い、不思議なイベントスペースがあった。
ワンマンライブは二部構成。
最近覚えました。
活動10周年を迎えた節目のライブは浩一さんが詰まっていた。
頑固にオリジナルを求める姿勢を側で見ていた自分は、いつもよりボンヤリしていた。
ポップスのなんたるかを音楽から教えてくれる先輩。
青年期のひねくれたポップスは、大人になると、考えるポップスに進化するのかもしれないと、最近思うことがある。
10年前に出会った頃から浩一さんはよく「おもろない」と言っていた。
この「おもろない」は笑える笑えないのことではなくて、「つまんないのはよそうね」という意味で使われていたと認識している。
また「奇をてらったり、変なことをするだけなのは違うよ」という教えにもなって自分に響いていた。
尖った表現をそんなにしない人ではあるけど、浩一さんの「おもろない」は常にフラットに、自分と他者に向けられていた。
「なんか普通やん」「あんまりおもんない」と、口癖のように言っておられた。
そんな浩一さんは、自作曲は勿論、カバー曲を歌うときも「おもろい」曲作り、アレンジをしている。
カバー曲がまるで浩一さんのオリジナル曲のようだ。
努力、試行、積み重ねの人。
多分、この日のライブは詰めかけたお客さんの笑顔を見ていても、浩一さん自身「おもろかった」と認めたに違いない。
死なない限り、日々は続くんだなぁという心持ち。