-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

黙って引き寄せた

 

「揺らぐ国際秩序」とアナウンサー。たしかに。

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存在しないものをお互い譲り合った結果できた言葉でしかない。

 

1953年黒澤明監督作品「羅生門」を見た。

舞台は平安時代。捕縛された盗賊多襄丸(たじょうまる)の犯した殺人と強姦について検非違使(けびいし)に呼び出された当事者、関係者、目撃者それぞれの証言を聞くが、全員がまるで別の証言をしている。

墨を混ぜたと言われる雨がざんざん降り注ぐオープニング。ボロボロになった巨大な羅生門のセットに予算のほとんどが充てられている。焦点の合わない顔で「わからねぇ」と呟く2人の男の顔を見てるだけで、なんだかとてもワクワクしてくる。人が持つエゴや見栄を証言台のような特殊な状況を利用して炙り出す見せ方にあっという間に時間が過ぎた。

見ながらビタースイートな記憶が蘇る。中学2年の夏休みに読書感想文を書かなくてはならず、この映画の原作「藪の中」を選んだ。芥川龍之介という名前が格好いい。昔の人にしたら見た目もいい。新潮文庫のタイトルは「羅生門」とあり「阿修羅」の「羅」が入ってる。格好いい。など、知性溢れる理由で手に取ったが、読み始めるとなんのことやら意味がわからない。それも錯綜する言い分がどうこうではなく、読めない漢字が多すぎる。「藪の中」は現代でもその真相や、著者の思惑を日本のみならず世界の専門家が議論していると聞く。最後に載ってる索引で言葉の意味を調べながら、一行一行、英訳でもするように途方もない時間をかけて半泣きで読む。夏休みを全部使っても書ける気がしなかったので、あとがきの文章を頼りになんとか文字数を埋めた体験はしばらく読書から自分を遠ざけた。

 

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三船敏郎さんがとんでもなく男前。溌剌とした純粋な悪党として多襄丸を演じる。志村喬さんの杣売り(そまうり 薪売り)の絶妙に情けない感じに見入った。

 

23日は黒沢監督のお誕生日だったそう。「伊集院光とらじおと」最終回を聴き終え、最後まで身の詰まった放送で楽しかった。ゲストコーナーでは伊集院さん自身がゲストとなり、質問されたことにマシンガントークで応える。大事なことがたくさん入った話が聞けた。恒例の「今後の夢や野望」を聞かれると「朝のラジオを必ずやる」と宣言されていて頼もしさと楽しみな気持ち。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!