-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

あっちゃこっちゃ

 

雨をよけて歯医者に向かう。眠

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今月も丁寧な人に当たった幸せ。

 

2018年ボー・バーナム監督作品「エイス・グレード 世界で一番クールな私へ」を見た。

 

中学卒業まであと1週間。YouTube自己啓発的な動画を公開するケイラは明るく器用そうに振る舞うが、現実は地味で不器用な「学年で1番無口な子」と表彰される猫背の女子。今日も動画の再生回数は0回。それでもクールな女の子になる為に自分を懸命に変えようとする。

 

Amazonプライムで期限内滑り込み鑑賞。予告編を見て絶賛されていたことを知ったが本当に良かった。「エイス・グレード」とは8年生の意味で、日本でいう中3にあたる。先日見た「シーズ・オール・ザット」で演じられた1999年の陰キャ設定とは次元が違う、2018年のリアリティーと現代性を併せ持つ、忘れていたあの頃の僕たち私たちをなじってくる快作。しかし恐れずに見てほしい傑作だった。

 

冒頭、主人公の自己紹介が知らぬ間に終わってるスマートな展開。クライマックスかと思う胃の痛くなる誕生日パーティーからはじまり、会ったばかりの上級生とあやしい雰囲気になったり冷や汗もの。自分の中にない自分を演じる、綱渡りみたいな背伸びは時に大事だったけど、いかんせん不器用なケイラがやるとホラー映画ばりにハラハラする。分かりすぎるし見てらんない、というエルシー・フィッシャーの演技が相当上手いことが分かる。

 

とにかくダサいと思われたくない一心で、知ったかぶり、イキッちゃうケイラは非常にアクティブで良いんだけど心配でたまらない。そんな観客と同じ気持ちでケイラを見つめ、ひとりで娘を育てるお父さんジョシュ・ハミルトンもたまらない。情緒が安定しない思春期の娘の怒りを一身に受け止める。「バナナ嫌いだっつってんだろ!」とキレられたらiPhoneにすかさずメモをする。どれだけ無視されようとも笑顔で話しかけ、荒れて帰ってきた娘に殴られないようにしながら近づき話を聞く。ケイラの成長を描きながら、陰日向となって見守り、励まし、時にウザい事もしちゃうお父さんの姿を追ったモキュメントにもなっている。「私の子供が私みたいだったら」ついに劣等感が吹き出してしまったケイラの独白とお父さんの呼応に胸が詰まる。

 

劇中たゆたう心境か、誰の視点で見ている想定なのか、何箇所か画面が家庭用ハンディカメラの映像のように少し揺れているのだけど、監督がYouTuber出身らしく、そこに絡めた意図があるのかもしれない。

 

youtu.be

「身の丈」なんていうと身も蓋もないが、格好つけるのをやめて、自分らしく生きることを選んだラストに微笑みが溢れた。

 

舞台設定が「金八」と一緒だと気づいた。実家にいた頃、うちの父親も妹との距離感に苦労しているように感じたのを覚えている。ケイラのお父さんのような気持ちだったのかと思うとゲンナリするな。ほんまお疲れさんすわ。映画で見るのと、目の前にそれがあるのはえらく違うだろうね。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!