-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

ほら穴へようこそ

 

ごっつ気になるけど安全性を勘ぐる。

ありそうでないの好き。

 

2016年ジャン=マルク・ヴァレ監督作品「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」鑑賞。

 

交通事故で妻ジュリアが死んだ。しかし夫のデイヴィスは涙ひとつ流れない。何故なにも感じられないのか分からず、デイヴィスは分かるまで全てを破壊することに決めた。21年に逝去した監督の遺作となる。

 

画面から目を離すことなくジッと楽しんで見ていたが、終盤デイヴィスが見つけたメモの意味が分からず、何かを見落としてきたような変な感覚のままエンドロールが終わってしまいモヤモヤ。メモには「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」と書かれてあり、それを見たデイヴィスがなんとも言えない表情をする印象的な場面だ。とても大事なシーンだとわかるが、いまいち意味がわからない。ちょろっと検索すると、誤訳でもないが誤訳らしい。

 

If it's rainy, You won't see me, If it's sunny, You'll Think of me.
「雨ならこの付箋は見ないわね、晴れたら付箋を見て、あなたは私の事を想ってくれる」

Amazonレビューより

 

直訳すれば邦題のままでも正解なんだろうが、これは妻が残した普通のメモで、「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」と詩のように訳すと暗号のように見えると思うけどな〜。不満顔。

 

あらゆることに興味がないデイヴィスが妻の死をきっかけに周りの世界に興味を持ち始める。2週間もの間、水漏れしっ放しで気にならなかった冷蔵庫が「忌々しい」とまで感じ始めたデイヴィス。欠落した感情が身体に戻っていく。ストーリーの中に込められた意味や意図を「気付く」ことを楽しむ構造になっているようだ。ただデイヴィスがなぜ私生活においてのみ無気力になったかは分からない。一流の金融機関に勤めるビジネスマンが冷徹なだけかと、無意識に勝手な解釈をしていたけどどうも違う。結婚をした男は無味乾燥な顔になっていくのだろうか。

 

何かを直すときはまず分解する。心の修理は車の修理と同じだ。まず隅々まで点検する。そして組み直す。

そう言われたことを思い出したデイヴィスは冷蔵庫、パソコン、会社のトイレのドアまでバラバラに分解する。分からない自分の心の違和感を精査し始め、原題の「DEMOLITION ディモリション(解体)」をしまくる。破壊衝動に身を任せてる間は笑って過ごせるデイヴィスの気持ちが分かるような気もする。

 

youtu.be

映画と関係はないけど、 「宇宙人が来ようと、お化けが出ようと、コロナも戦争も含めて、何があっても俺は明日絶対仕事があるんですよ」とインタビューで答えていたラッパーのSAWさんの言葉がデイヴィスにカチッとハマった。

 

主演のジェイク・ギレンホールがネジの外れた男を怪演していて楽しかった。正確な発音は「ジレンホール」だそうですね。ぜひきんにくんに教えて頂きたい。月に2、3本映画を見てた頃なら気付けたはずの「普通に考えて」みたいな思考をスルーしてしまってる。素直に疑問を持つことをゆるそう。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!