パッとせん時は待っとけよ
長
湯船と抱き合う日々。
自然と風呂場で唸るじじいに。
奈良が好きだ。朴訥さと神秘的な雰囲気は日本の原風景のような気がしてならない。なにはともあれ大仏様が鎮座されてるのが頼もしい。大仏様の手の形は「話を聞きましょう」という意味の印なんだそうで、優しそうなところもありがたい。
鹿も可愛いし。
旧正月が明けてすぐ車を借りることができ東大寺に向かう。念願の「まんなをし地蔵尊」にお参りしてきた。「間のわるさ(運の悪さ)」を治してくださるお地蔵様だと去年偶然知り、間抜けがヨダレを垂らしてやってきた。二月堂の裏手から山の中へ入ると雪がまだ残っていて、東大寺の敷地内にありながら人の出入りの少なさがわかる。少し進むと囲いがあり、小さな石板に仏様がおられた。崖に掘られた仏像は「磨崖仏(まがいぶつ)」と呼ばれるけど、石板に掘られているのは石仏と呼ぶのが適当のようだ。静謐な場の雰囲気や佇まいが「珍しいな」と率直に感じた。
Google MAPで「まんなをし地蔵尊」を検索すると二月堂の奥に道があることがわかる。ゼルダやFFを彷彿するちょっとした冒険感覚も良い。お参りから1ヶ月近く経って「馬鹿なことを」と思われるでしょうが、既に「良いタイミングだなー」と思うことが頻発していて嬉しい気持ち。唐招提寺に行く際はちょっと思い出してみてください。
一服する場所も激渋で当然。
二月堂のすぐ側で食べられるわらび餅。前回は見なかった前髪がZ世代の女の子が働いていた。
10年以上前に訪れて以来のお店に再訪。いかつい茶釜もそのままに。当時奇特な後輩が車を貸してくれていて、これ幸いとドライブがてら仏像を見て回るブームが最高潮に達していた。見たかった山奥の仏像を拝みまくる日々。龍美堂に寄った日は法華堂の「不空羂索観音」が目当てだった。感慨深いような、過去と現在に思いを巡らせたり。
お堂を眺め黙る。
ヴァージンが出していたジャズコンピで「瞑想」にフォーカスした「JAZZ FOR MEDITATION 」は見仏の時によく聞いた。仏像のジャケットで1曲目がこの曲。ゆるい旅の予感を胸にゆっくりアクセルを踏む。Amazonにあるけど下の広告には反映されないパターン。
今回の旅はアリス・コルトレーン「ブルーナイル」を大胆にサンプリングしたこの曲がきっかけだった。
去年デクライムとマッドリブが93年〜96年の間に制作したお蔵入りテープを発表したのだが、サンプリングされた曲が仏像巡りの懐かしい記憶と共鳴し、東大寺敷地内にまんなをし地蔵尊を発見、実際にお参りするまでに至る。ありがたや。
地球上、どこにいて何をしてれば良いんだろう。何が正解かわからん世の中。新興宗教の出番かなと思いきや、糾弾される側に回っていて興味深い。仏像だお地蔵様だと抜かしながら胸を張って無宗教をガンと譲らない姿勢を見せるお前は素敵だ。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!