ボールボーイに不要のプライド
電話に映す夏。
少し前、友達に誘われて泉大津の埋立地で行われてるラッシュボールへ。
夏フェスは今年初。
ラッシュボールは生まれて初めてやわ。
この日もアホのように晴れており太陽光が皮膚を痛めつけてくれた。
子供も結構いたけど、音楽のフェスはどんな気持ちで過ごすんだろう。
俺の子供の時はまだこういう催しが少なかったし、あったとしてもウチの親はまず参加しないタイプだ。
会場には大小2つのステージが用意されており、どちらも活気がすごかった。
裸足に緑がいい感じだけど、その実、太陽にひたすら体力を削り取られているシーン。
お客は影を探してさまよい、影さえあれば人が座ってる椅子の真後ろに座り込んだりする。
ラッシュボールは20年も続いてるのに何故日陰の問題を無視するんだろう?
純粋な疑問はチケット代が安いからとか、人命と秤にかけられない事しか思い浮かばない。
ふしぎだ。
翌日の魚座満月に向けてひそやかに力が集結しとる。
月光を浴びる。
徹底して日陰を作らない替わりにロケーションは前も後ろも素晴らしかった。
一日中、色々な所で名前だけは聞いていたバンド群を眺めた。
文章の方で名前の上がっている尾崎世界観さんの所属するクリープハイプ。
友達に言われるままにキュウソネコカミのライブを前の方へ見に行った。
1番最初に聞いたドラマチックアラスカというバンドは後日ヨースケ君からカーテンズと対バンしたことがあると聞いた。
当時持ち曲が2曲しかなかったのにライブをしていたとか。このステージまで上がってきた凄みはライブでも表現されていたように思う。
他にもYouTubeで見ていたフレンズ、デニムス。
名前が沢山あって覚えていないけど、この日ステージに上がってる人はアイドルだった。
本来ステージに立つ人は偶像で然るべきだけど、そういう意味とはちょっと違うアイドルだった。
ロックでありたいと汗だくでシャウトしながら髪の毛のセットを気にしてライブをする感じや、よく躾けられたファンの挙動。
とにかくスピード感のある演奏と一貫した音楽表現、時代の一部をゴソッと削りとった歌詞。
こういう在り方があるのかと感心した。
興味深かったのがお客さんのライブの見方。
上下左右にリズムに合わせて掲げた手を動かす。会場ではこれを「踊る」と呼んでいた。
また、指でキツネを作る時のように、全部の指を真ん中にすぼませて手前に引き、花が開花するように指を開いて前に出す、を繰り返す動きが主流のようだ。
時代の気分がこの指をすぼめて広げてをやらせているんだろうけど、目新しい文化に触れた瞬間でファンの動きは飽きない。
最後に見たサカナクションはそれまでのライブと一線を画していた。
聞いたことがほぼなかったので楽しみだったのだけど、音楽の質がまるで違うのは元より、見せ方へのこだわりに驚いた。
エンターテイメントを演出するというのか、とにかく良いものを見せてもらった。
友達のお陰でまた新しい経験を積めました。
ありがとうございます。
サカナクションのライブが終わった瞬間に花火が打ち上がり、綺麗だのすごいだの、めいめいヤーヤー言って帰路へ着く、のだけどここでまた驚いた。
「ご来場ありがとう」や、「場内にゴミを捨てるな」というアナウンスが鳴り響く中、2つあるステージの小さい方で今もライブをやっているじゃないか。
会場はみるみるもぬけの殻になっていき、あんなに人が密集していた広場が閑散としていく中、休み時間が終わっても盛り上がってやめられないドッヂボールみたいな小さなテンションが暗闇に明滅している。
Donald Fagen - I.G.Y. (What a Beautiful World) (HQ)
夕方前、会場で一瞬だけ流れてぶつ切り、次の曲へ飛ばされたドナルドフェイゲン。あの太陽の下で聞きたかったけどなあ。
次曲にファットボーイスリムが一瞬流れてまたぶつ切り、次にブルーノマーズが流れてと、曲順もさることながら不思議なSEだった。