-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

こどもの国、おとなの海

 

言うとったら明けました。

おめでとうございます。今年もよろしく、夏。

 

 

 

1953年小津安二郎監督作品「東京物語」を見た。

 

尾道に住む老夫婦が東京の子供たちを訪ねに行く。しかし東京で忙しく暮らす兄妹は夫婦に構う時間もなく、少し疎ましげにあつかう。そんな中、戦死した次男の妻だけは老夫婦に温かい心づかいをみせる。

 

観たかったシリーズ。海外でも評価が高く「名作」の名をほしいままにしている作品。昔話のような展開だが、昔話ほどファンタジーでもなくあくまでリアリティに収束し、優しい世界と冷たい世界が老いと共に誰の目の前にも現れ去っていく光景を映す。一方が冷たいとき、優しい世界を見せてくれた人には感謝するよな〜という内容だった。

自分なら邪険に扱わないまでも、老夫婦をないがしろにする兄妹をとても悪く言えるような孝行はできていないかもな。教訓的。世代によって印象が変わる映画だと思うので、この先も50代、60代と長く見ることができるのは名画のひとつの特徴かもしれない。

 

ゆったぁ〜りとしたお爺さんお婆さんがゆったり、ゆったりのテンポで

「あぁ」

「そうだねぇ」

とやっている。息子たちに熱海の温泉へ招待されたが、行ってみると朝まで若者が騒ぎまくってる品のない旅館。それでも2人は

「寝れませんねぇ」

「そうだなぁ」

なんてやってる。

心善いお爺さんとお婆さんの優しい会話を眺めてこんなふうに生きたいと思わされた。怒りと無縁のように見える2人の姿勢は年齢によるものなんだろうか。

 

またワンルームのアパートで貧しいながら心清く生きている紀子の暮らしがそれはそれは眩しかった。夫を戦争にとられ未亡人になった紀子の慎ましさ。いちいち饗応する側が気をつかいにつかって、「こんなものしかありませんが・・」とへり下り続ける文化はやり過ぎに見えるけど、心ある人同士のコミュニケーションの場合、なんだか気持ちよく映るのだった。

 

youtu.be

69年に発表されたTHE BEATLESの「the end」という曲の歌詞にこうある。

And, in the end, the love you take/ Is equal to the love you make.

結局、あなたが得る愛は、あなたが与える愛(の量)に等しい (Wikipediaより)

おそらく小津監督はこの考え方を当時既に理解しており、その映像化が早くから海外で評価されるのは合点がいく。

 

youtu.be

見るかどうかは別に、興味深い映像が。

 

新月のお願いはすませましたか?「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」。ざんない気持ちになる言葉であるが事実である。昨今なかなか消え去らない老人が跋扈する世の中だけど、戦後間もない映画に映る頃なら、いよいよ「消え去るのみ」だったはず。そして心に沁み入る「去ればとて、墓に蒲団も着せられず」。親孝行はしとくもんだ、とわかっていながら。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

 

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