君こそスターだ
突風が吹いていたらしく物干し竿ごとダイブ。
マザファキ洗い直し音頭。
じき、春。
職場に新しいバイト君が入ってきている。
今日一緒だった子はカシコな高校生。
勉強で有名な高校を出て、春から吉本興行の養成所ニュー・スター・クリエイションに入るとか。
その学歴から、死ぬ程聞かれてるだろうけどと、志望動機を聞けば大志を抱いて夢に向かう感じ。
ええやんええやん。
以前も人力舎に所属している芸人志望のバイト君が、大志を胸に上京したのを見送ったりした。
大阪の隅の方とはいえ、こういう子は少なからずやって来る。
このバイト君の取っ付きの印象は、顔が怖い。
喋り方もゴツイ縦社会経験者のような、余計なことは一切口にしない感じ。
とてもオモロイことを言いそうには見えない。
怖い顔の人が惚けた事を言うのはオモシロに繋がるとは思うけど、ちょっと仏頂面すぎる。
とは言いつつ、それは計算で百発百中主義的な、ここぞというタイミングで何か言うのかと思ったら、どちらかというと無口。
「僕、そんな静かですか?」と自覚もないようで、もう1人のバイト君と質問しながら談笑してると、やっと可愛らしく笑ったりもする。
本人曰く、緊張とかではないらしい。
とにかくいつもムスッとして見えるので、芸人になるとかは関係無く、接客業だからもうちょい笑えと言っている。
バイト君は面接に来た日も怖い顔に坊主頭、礼節ある口調に革ジャンスタイルで、漫画「クローズ」に出て来そうな雰囲気なのだ。
「クローズ」を読んだことがある人に説明するなら、高校生になって、上級生に挨拶に来た下の代、という感じの気合入ってる系の顔。
若い子が坊主にする理由は部活なのかハードな趣向から来るものなのか聞くと、部活もやってないし、ヤンキーでもない、普通の帰宅部らしい。
また、今までバイトをした事がない理由を聞けば「学校で禁止されていた」からだという。
見た目のギャップから「ま、真面目やな〜」と驚嘆。
しかしバイト君は「そうなんですか?」と仏頂面を崩さない。
逆に強いのかもしらん。
ムスッとしながらも最初は果敢なチャレンジ精神を買われていたバイト君だが、注意を受けた時の対応が既に反感を買いつつあると聞かされた。
良い学校卒の子は「お勉強はすごいできるんだろうな~」という子が多い。
ヤンチャな子の方が応対含む、いろんな意味の仕事が出来るのが、ウチの店に関して言えばセオリー通りだ。
若い子達が学校外の社会経験の大切さを表現してくれる。
ここまで怖い顔じゃないけど。