-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

縁なき衆生は度し難し

 

「これだけネットが一般に普及した時代に」とよく言われる。公人の言った言わないに関してかなり正確な過去情報が手に入るため、もみ消しや知らぬ存ぜぬが通じなくなった。

しかし政治となるとメディアがそれでも封殺を試みるのを見て、あらためて現政権はネットを触らない世代だけを相手にしていることが分かる。

 

 

1997年フランク・グロウ監督作品「LOVE GOD」鑑賞。

90年代後期から愛読していたファッション誌「カジカジ」に単館上映まるだしのニッチな映画紹介コーナーが小さく載っていた。シネコンブーム前夜で田舎の中学生は短い紹介文と荒い画像だけでどんな映画か想像する。難波まで30分でアクセス出来るとはいえ大阪も中心地以外はただの山でしかなく田舎だなと思ったものだ。こういう小さな映画館でかかっていた作品が昨今サブスクでぽつぽつ見られるようになっている。映画について調べるうちに当時アメリカから鳴物入りでやって来た「キラーコンドーム(96)」の次はこれだ!という位置付けの映画だったらしく、その界隈では期待されてたのかもしれない。当時のチラシには日野日出志さん、本秀康さんら著名人がコメントしているのを発見。

記憶の片隅に残っていたくらいでどんな映画か分からず再生。ハードなギターリフが映画を埋め尽くし、カット割りの激しすぎる目まぐるしい映像、多様性溢るる精神異常者の登場人物たちが謎の吸虫ラブゴッドに追われるカルトムービーだった。

 

「文字を見ると音読して破り捨てる病」のラルーはイカれた医者に治ってないのに退院させられNYに部屋を割り当てられる。そこで度の合ってないメガネを発見、かけることで文字を見なくて済むようになった。世界はボヤけてるが薬を飲まずに生活できる奇跡に浮かれる。隣人で言葉を話さない潔癖症の女の子ヘレンはいつものように母親と死体処理の仕事から帰るとアパートの玄関に立つラルーに一目惚れ。ヘレンは自制心が無いため突然ラルーにキスしたり、汚れた手や口周りを舐めて綺麗にしようとする。たまらず勃起したラルーのチンコをおもむろに握り、悶絶し開いた口に噛んでたガムを吐き捨て部屋に戻っていく。童貞のラルーはたまらず硬直。この日からガムを噛んでは吐き、噛み終わったガムで巨大な像を作りはじめる。最初の30分は「やめるなら今だな」と思いながら見ていた。

 

そういうノリで進みながら謎の化け物「ラブゴッド」も絡んできて複雑になっていく。終始意味の分からないカルトムービーに違いないのだけど、ずっと狂ったテンションの主人公たちが急に健常者と変わらない一面を見せるシーンがいくつかサラッとあって、普通の恋愛映画みたいな雰囲気が微かに漂ったりする。ブレてるといえばそうかもしれないが、リアリズムなんじゃねーか?と思うとこの映画の底が知れずちょっと背筋が伸びたりした。なんだかわからないけど結果3回も見たのはこの世で俺だけだと思う。

 

見ながら日本で映画公開があった99年当時、アメリカ村の雑居ビル内に小さな古着屋が蝟集していたことを強烈に思い出していた。2畳くらいの嘘みたいな敷地で古着屋がひしめき合っていたのだが、それらの店で小さなラジカセからやかましく鳴っていたハードコア、床に直置きされたブラウン管の13インチくらいのテレビに映ったパンクスが暴れてるライブVHSの荒すぎる映像が脳裏をよぎる。アメリカ村に遊びに行くようになった少年が踏み入れた初めてのクラブでかかっていたオールジャンルイベントでの音楽体験なんかが、ぎゅうっと搾り汁のように脳に垂らされ続けた。好奇心が四方八方に自分を連れ出してくれた愛すべきあの頃のカルチャーが充満しているような個人的な郷愁。

 

youtu.be

毎度おさだまり。これ系は予告がなくフル動画と抜粋動画がYouTubeにあるばかり。

 

youtu.be

メインテーマとして流れたこの曲のリフに何故か爆笑。妙〜に気にいった。

 

悪趣味の笑いが軸にあるから嫌な人は嫌だろう。普通に意味わからんのとキモくて見てられない人が多いか。最初の数分でガッチリ掴まれた私が、smokeです。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!

 

Love God(字幕版)

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