-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

これで良好

 

オールナイトニッポンのサブスクが始まるらしい。

コンプライアンスやポリティカルコレクトネスなんて言葉が一般的でなかった時代の無茶苦茶トーク内部告発しようというのか。ファンからすればそれが面白かったと言っても過言でない回も多々あったと思う。YouTubeに稼がれて腹立つのも分かるけど大丈夫かニッポン放送

 

1981年宮本輝原作、小栗康平監督作品「泥の河」を鑑。

 

高度経済成長へ向かう昭和31年の大阪。安治川の河口でうどん屋を営む板倉親子。ある日一人息子の信雄が川向の宿船に暮らす姉弟、銀子、喜一と友達になる。彼らの母親は船で客を引き売春で生計を立てていた。信雄は親から「夜は船に行ったらあかんで」と言われていたが・・

 

先日の「台風クラブ」に続き会田誠さんのおすすめ映画をチョイス。滋味溢れる優しい映画だった。屈託のない無邪気な子供が見た戦後10年の現実と、ひと夏の幼い友情を描いた傑作。

復興が進み「もはや戦後ではない」と新聞に大きく載ったところで庶民の暮らしはかき回されたあと。貧しいながらも懸命に笑いあう人々の姿が光り輝いていた。クローズアップされる板倉親子と、戦災の煽りを受け船で暮らす姉弟の物語。姉の銀子の伏し目がちな暗さ、しっかりしたお姉ちゃんを果たす姿。白黒でも色が伝わってくるような弟、喜一の満点の笑顔。「宿船」「廓船(くるわぶね)」「水上生活者」という言葉をはじめて知った。

 

戦争が終わり、これからを生きようとする大人たちにも活気が蘇っていて全体にムードは明るい。しかし決して生活は楽ではない。戦禍をくぐり抜けたのにあっけなく命を落とすものもいる。すぐそばにあった死を意識して呆然としたり、全部投げてどこかに消えてしまいたくなる心持ちがどこかで燻っている大人たち。

 

戦争で死んどった方が生きてるもんかて、諦めがつくっちゅうもんや。今んなって戦争で死んでた方が楽やったとか思てる人はぎょうさんおるやろなぁ。

虚空を見つめ、呆けたような顔でたまに心情を吐露する田村正和さんの兄、田村高廣さんの優しいナニワなお父ちゃんが素晴らしかった。このおっちゃんめっちゃ好き。戦争を経て手に入れた平凡な暮らしの中で丸くなったのか、次の世代の子供たちを安心感で包み込んでくれるような優しさが物語に漂う不安を消してくれている

ロケは名古屋で行われたそうだが、「天満の天神さん」を再現したお祭り屋台の風景が白黒で見るとまた良かった。戦後の大阪の街を想像しながら、そういえばコロナでしばらくお祭も中止されてたことを思い出す。天神さんやら花火大会も今年は開催するのかな。

 

先日見た「月曜日のユカ」以来、加賀まりこさんをお見かけしたが、恐ろしいほどの美人で、泥の河にとんでもない鶴が舞い降りていた。スケジュールの都合で加賀まりこさんのみ船のセットを東宝に持ち込み全ての撮影を6時間で終わらせた伝説があるとか。全然関係ないけど「ダウンダウンなう」で昔松本人志さんを加賀まりこさんが誘ったという話が聞けて面白かった。

 

Wikipediaによると本作は小栗康平監督のラッキーが重なることで大ヒットしたとある。たまたまお鉢が回ってきた監督業を完遂するが上映してくれる映画館がなく、先輩の大林宣彦監督を頼り草月会館で上映。すぐ東映の社長に太鼓判をもらい映画も買い取ってもらった経緯がある。その後「E.T.」公開で来日したスピルバーグ監督が小栗監督に面会し、「子役の演出が素晴らしい」と称賛したとか。

 

youtu.be

またしても予告が無かったので水野先生の名解説を。

 

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いつも読んでくれてありがとうございます。お陰様でアクセス数が20万回を超えました。心から感謝致します。引っ張るけどオールナイトニッポンのサブスク、仮にマズイ部分を完璧に把握できて全部カットしたとしてそれが面白いのか怪しい。演者も聴取者も深夜のテンションで口にできないようなことを笑ってたのにね。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!