-kemurikikaku-

ママチャリに乗った小っちゃいオッサンの日記

腰振る願い

 

身の浄化にお神社へ。

茅の輪くぐりにありつけた。無病息災を祈念して、ありがとうございました。

 

2000年新藤兼人監督作品「三文役者」を見た

 

バイプレイヤー殿山泰司(とのやまたいじ)の伝記映画。平成元年に73歳で亡くなるまで、巨匠の作品から児童教育映画、ロマンポルノに至るまで「お呼びがかかればどこへでも」をモットーに三文役者を自称し300本の映画に出演。当時では珍しく、事務所に所属しないフリーの役者として五社協定に縛られない八面六臂の活躍をした。

 

久しぶりに俳優・竹中直人を堪能。竹中さんのコメディアン時代を知らない世代だが、サロンパスのCMなどでコミカルなオッサンなのはよく知っていた。古くは「豊臣秀吉」の大河ドラマではじめて存在を意識したと思う。今回はモノマネをいれて殿山泰司を演じている。殿山さんもほとんど知らないけど、こんな人だったんだろうなーという謎の説得力。演出として、妻を演じる荻野目慶子さんは17歳から、竹中さんは36歳から姿は変わらずメイクやカツラなどで年齢を加えて物語は最後まで進む。また現代の音羽信子さんが劇中の殿山泰司と会話する見せ方もおもしろい。

 

殿山泰司は主演することもあったが多くはバイプレイヤー(脇役)として、生涯に300本の映画に出演したとある。勝新太郎石原裕次郎といった豪快な昭和の俳優像とは雰囲気が違い庶民的とでもいうのか。先日見た「愛のコリーダ」では庶民をこえ、チンポ丸出しで娼婦に迫る浮浪者を演じていた。どんな役にあってもあきらかに異質な存在感。どことなく教科書で見た横顔の正岡子規のようなハの字に下がったこまり眉毛、大きなダミ声。酒、女、ジャズ、推理小説が大好きで、酒で入退院を繰り返し、いつも女絡みで修羅場を演じてはさらに困った顔になっている。「おおらかな時代」が大いに関係あるんだろうけど、無茶苦茶やってるのに人に愛されまくった、仕事に真面目な人なんだろうことがよくわかる。

殿山は恐れる人が2人いると言っており、それが鎌倉にいる内縁の妻と新藤兼人監督。妻に関しては映画の中で侃侃諤諤やってるので怖さがよくわかるのだけど、監督とは長年の付き合いで親友と呼ばれ、没後にこうした伝記映画まで作ってくれる関係だ。しかし映画の中で監督は喋らず、殿山さんとの直接的な絡みシーンもない。共に近代映画協会を立ち上げ、「人間」「裸の島」など多くの作品を撮影。映画の中で監督がどう怖いのか説明してくれるのだが、関係性の深さを知らなければその怖さは伝わるようで分からない。例えば「人間」のロケ地で監督は雨の浜辺を流木を拾って歩き、溜まった流木を燃やす。しかし湿って燃えにくい流木。それでもひとり、雨の中で黙々と流木を燃やしている。その様が「ワイの脳髄をチクチク刺すんだなぁ」と表現している。またある時は魚のいないことをよく知っている沼で、雨の中ずっとひとりで釣糸を垂らしている。確かに怖い(笑)「なぜだ〜!?」と困惑する殿山さんが可愛い。映画に出演する他の俳優さんも個人的にバイプレイヤーとして認識している方々が多いように感じた。脇役がいて主役に意味が与えられる。

 

youtu.be

また予告がなかった。

伊集院光とらじおと」に最終回前日のゲストとして登場したハリウッドザコシショウさんが竹中直人さんの「東京イエローページ」に強い影響を受けていると話しており、そこからYouTubeで竹中さんを探っている。リアルタイムで見てショックを受けた人が多そうな番組だ。

 

去年から上映を楽しみにしていた「リコリス・ピザ」は近所ではやらなそう。最近できたセブンパークか、なんば梅田あたりまで行かねばならぬよう。殿山泰司さんのような人がのびのび育つ土壌はお笑いの世界にはまだありそうだけど、それもひと昔前に比べるとずいぶんシュッとなったように思う。今日も最高の1日でした。明日はもっと最高の1日になるで!